提言

 「知る」権利と義務


 ここ数年、金融機関などの 破綻が相次いでいる。始めの うちは思いがけない銀行の破 綻やその負債の多さに驚いた ものだが、こう頻繁に起こる と、だんだんとその驚きは薄 れ、億や兆単位の金がどれほ どの価値を持っているのか想 像しにくくなるのではないだ ろうか。経営破綻した金融機 関に注入される会的資金は我々 の税金であるにもかかわらず……。
 繰り返し報道される巨大な 数字に麻痺している我々が、 その数字の大きさをイメージ するのに最適な絵本が出版さ れた。作家、村上龍の「あの 金で何が買えたか」である。 その中を見てみると、例えば 三菱信託銀行への公的資金投 入額は3千億円。この金で、 世界で飲み水を確保できてい ない地域の11億人へ井戸を、 さらにモアイ像の修復、大洪 水で被害を受けた中国の世界 遺産級の遺跡の修復もでき、 まだおつりがくるのだと言う。
 よく科学者達が核兵器やク ローン人間などを生み出そう とした時に我々一般人がそれ を止めねばならないと言われ る。それは科学においてだけ、 ではない。
 我々の生活に関する情報を 知ることは我々の権利である。 それと同時に、知ることは科 学者や金融機関、政府などが 間違った方向に進もうとする 時に、正しい世論を巻き起こ し、それを止めようとするた めの第一歩でもある。様々な 情報を得て、それらを上手く 活用し知識を増やし、より良 い世界を作っていくことは現 代を生きる我々の義務なのだ。

(キョウ)




 繋がる人間とネット


 インターネットが広がりつ つある最近。新時代のツール としてマスコミでも多く取り 上げられているが、一方イン ターネットの間題も表面化し てきている。ネット犯罪もそ の一種だが、これは現実社会 のどこにでも犯罪があるのと 同じで犯罪そのものは驚くに は値しない。もっと注目すべ き点は他にある。
 ネット上には掲示板やチヤ ット等、他人と即時性のある コミュニケーションをとれる 場があり、多くの人が仮名を 使って書きこむ事ができる。 そして、こういう場での言い 争いがかなり目立つのである。 中味の有無に関わらず熾烈な 論争がくりかえされ、時に罵 詈雑言が飛び出すこともある。 これにはネットの特性が大き く関与している。第一に、仮 名の使用で身元の隠匿ができ、 もう一人の自分を演じられる 事。第二にあまりにも簡単に 自分の意見を発信できるため、 感情的になりやすい事だ。先 に挙げた匿名性は完璧に維持 できる訳ではないが、それで も書き込んだ事が現実の自分 に関わってこないという安心 感を持ててしまう。そして、 言いたいだけ言って逃げる事 も可能なのだ。
 人に関わりたい時だけ関わ り、関わりたくない時は関わ らない。そんな我儘な現代の 気風がネットの特性に合致し、 ネット社会の拡大を招いたと 言えなくもない。コミユニケ ーション不全症候群とも言わ れ、他人との付き合いが下手 と言われる現代人。ネットに 取り込まれることなく、道具 として使いこなす事ができる のだろうか。

(委員長)

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