■夢おおき農業者たち


俺が良くなれば、  
  他人が良くなる
土田正人さん
長岡市浦瀬町 土田正人さん(43)

 目前には、赤く色づき始めた山々がそびえています。この地は、かつて長岡に繁栄をもたらした東山油田があった場所です。

 土田正人さんは、この由緒ある大地を継承し、守っている一人です。今年は、稲作18ヘクタールを手掛けました。
 「農業機械の導入計画、資材等のコスト計画など、スケールメリット(大規模経営)での経営感覚を磨かないと、これからの農業は生き残りが難しい。不安定な要素はたくさんある。だけど、誰かがやらねばならない」
 戊辰戦争の八丁沖の戦いでも有名なこの地は、沼地だったところも多く、土づくりは欠かすことの出来ない作業です。地元の酪農家と提携し、籾がらと牛堆肥を交換している土田さん。稲刈り後の稲わらのすき込みはもちろんのこと、牛肥を10アールあたり700キログラム散布して、土の成分を豊かにしています。
 浦瀬町機械化組合の一員として、集団転作にも取り組んでいます。専用の機械を購入して、仲間6人で40ヘクタール手掛けています。
 集団転作では、米を2年作ると、3年目は麦か大豆と、ローテーションさせて田んぼを転用します。麦や大豆を作ると、稲わらや麦わら等の有機質が分解され(乾度効果)、大豆の根についた根粒菌により、窒素などの肥料分が土に発現します。この状態で稲を作ると、穂の重みで稲が倒れ、労力がかかります。そこで、稲を作る前にケイ酸、リン酸を主成分とした土壌改良剤を散布します。同じ土地で米を作り続けることが理想ですが、生産調整の必要性からそうもいきません。また、稲作用の機械だけを所有する方が、コストもかかりません。

 土田さんは、浦瀬町奏楽保存会の会長、同町祭花火協議会の代表を務めています。奏楽保存会は、伝承者が少なくなったことから今年3月に設立しました。
 「郷土芸能や伝統は、無くしたくないというよりも盛り上げていきたい気持ちが強い。組織が弱体化してきたところで、テコ入れすると、エネルギーが倍になって、気持ちが高ぶる。仲間とのつながりは“生きる”ことを実感できる。そこから信頼が生まれて、仕事にもつながる」
 土田さんは前向きな信念を持っています。「俺が良くなれば、他人が良くなる」と、自分が成長し続けることで、地域にそして、農業に活気を生み出しています。
2001年9月


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